劇団ハイバイ「おとこたち」×さぬき映画祭

劇団ハイバイ「おとこたち」×さぬき映画祭

さぬき映画祭の舞台公演として5月3・4日にサンポートホール高松で公演される劇団ハイバイの演劇『おとこたち』。4人の男たちそれぞれの24歳から82歳までの人生をハイバイらしい「しゃべり言葉」で描き、笑ったり泣いたりしながら見ているうちに自分の人生に重ね合わせてしまう不思議な作品。2014年の東京公演で話題を呼び、今年、異例の早さで再演が決定した。
今回、その高松公演を企画した、さぬき映画祭ディレクター本広克行監督。脚本・演出を手がける岩井秀人氏とともに、『おとこたち』の魅力を語ってもらいました。

今までめちゃくちゃたくさんの人に取材をしてきたなかで、選りすぐりの
”ひでぇ人生”を集めました。(岩井)

さぬき映画祭で演劇を公演することになったきっかけは?

本広 今年は『瀬戸内国際芸術祭』の開催年ですが、昼間に島をめぐって高松に戻ってきたときに。映画や演劇を観られたらいいなぁとずっと思っていました。 ちょうど、今年『さぬき映画祭』が10周年を迎えたので、そろそろ新しい展開を考えるなかで演劇とコラボしたいと思ったんですね。それで、演劇といえばハイバイだ! と思い立って岩井くんに連絡したら『おとこたち』を再演するというので、その作品なら間違いないと確信して、懇願して高松で公演してもらえることになりました。ハイバイは、僕にとって「切り札」なんです。

そこまで言いきってしまうほどのハイバイの魅力ってなんでしょう。

本広 高松で、演劇が好きな人はもちろん初めて観る人にも「すごく面白い」と言ってもらえる舞台を見てもらおうとすると、なかなか難しい。けれど、ハイバイなら自信を持っておすすめできるんです。
岩井くんは身の回りにあふれた日常を面白くするのが得意。だから、セリフがすごくリアルで、演劇を初めて観る人でも共感できますから。

岩井 僕は今まで古典的な演劇に違和感を抱いていて、きれいなセリフや大げさな動作を見ると、「なんでこんなに大声で“好きだ”って言えちゃうんだろう」とか思っちゃうタイプ。現実を見ると、人間はもっと不自由だし「好きだ」って叫びたくても叫べない。そこに美しさがあると思うんですよね。
そんなことを考えていたとき、日常会話ベースで台本を書く平田オリザさんの作品を見て「これだ」と思いました。それがきっかけで、しゃべり言葉で台本を書くようになったんです。

本広 岩井くんの台本を読むと、セリフに「う〜」とか「あ〜」とか言って悩んでいるところもちゃんと書いてあった。このニュアンスを役者に伝えるのは相当難しいだろうなぁと。

岩井 そりゃあ「悲しい」とか「愛している」という言葉でスムーズに感情を伝えることができれば、人はもっと救われるはずなんです。だけど、人間には「伝えられない」ことに対するもどかしさがあるんですよね。僕はそっちにスポットライトを当てたいと思って不器用なしゃべり言葉で台本を書いています。

本広 表現方法もすごく考えられていて、「こんなやり方があるんだ」と感心するんです。

岩井 例えば、役者の顔にシワを描いて白髪にすれば老人に見えると思われていますが、本当にその考え方で「老い」が伝わるのかなぁと思ってて。そのあたりのやり方はすごく考えています。

本広 わかりやすくて面白い演劇はいっぱいあるんだけど、考えさせられて面白い演劇はなかなかない。それができるのがハイバイ。だから首都圏ですごく人気で、ハイバイの公演は東京や大阪ではなかなかチケットが手に入らないんですよ。

岩井 実は、『おとこたち』は一昨年東京で公演した際に、評判がよくて劇場前に何百人も行列ができてしまって、観られない人が多かったんです。それで、2年後に再演することになりました。通常は再演までに数年ほど空けるので、異例の作品ですね。

本人にとっては地獄なんだけど、あとで話をしたらすごい笑えるってこと、
あるじゃないですか。(岩井)

『おとこたち』のお話を少しだけ教えてください。

岩井 立場の違う4人の男性の、青年期から老いるまでの約60年間を描いた作品です。
戦隊もののヒーロー、アルバイトをしながら不倫ばかりしているヤツ、派遣社員、製薬会社の営業マンといった、肩書きがまったく違う4人のそれぞれの人生を描いています。なるべくたくさんの人が自分と重ねながら観てくれたらいいなと思って。

本広 自分の身の回りに起こってることを書いているから、セリフがすごくリアル。

岩井 僕は、台本を書くための取材に力を入れていて、実際に会った人の話をもとに書くんです。今までめちゃくちゃたくさんの人に取材をしてきたわけですが、そのなかでも、『おとこたち』は選りすぐりの“ひでぇ(酷い)人生”を集めました。それは悲劇なんですけど、喜劇にもとれるというか。本人にとっては地獄なんだけど、あとで話をしたらすごい笑えるってこと、あるじゃないですか。そのほうが、一人で体験するよりずいぶん救われる気がして。

本広 単純に、さまざまな人間を描いているという点で面白いんだけど、男性は特に最後にじーんと泣けてくるかもしれないですね。女子は「ばかだなぁ」で終わるかもしれない。

岩井 登場人物のことを笑いながら、その先に自分の人生とか身の回りのことを考えてもらえたらいいなと思いますね。男たちの山あり谷ありの長〜い人生をギュッと2時間に凝縮させていますから。おおげさにいうと、大河ドラマが2時間で観られます(笑)!

開催日時

2016年5月3日(火·祝) 18:00

2016年5月4日(水·祝) 14:00 ★

★ 公演終了後、本広克行監督と岩井秀人氏によるアフタートークを行います。
・ 未就学児童の入場はご遠慮下さい。
・ 受付開始・当日券販売は開演の40分前、開場は20分前です。
・ 演出の都合上、開演後はご入場をお待ちいただく場合がございます。

会場

サンポートホール高松 第1小ホール

高松市サンポート 2-1
TEL:087-825-5000

http://www.sunport-hall.jp/

【電車】高松駅から徒歩 3分 高松築港駅から徒歩 5分
【 船 】高松港から徒歩 5分
【 車 】高松自動車道高松中央 IC から車で約 20分
【飛行機】高松空港からリムジンバスで約 45分

チケット料金
  • 一 般 : 前売 3,300 円 / 当日 3,800円
  • 学 生 : 前売・当日共 2,500円 (受付にて要証明)
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