sanuki story project

72初めての告白 香川県  匿名希望さん
その他 青春モノ
中学一年生のとき。好きになった男の子に、告白した。
春休み前日の下校時に、学校の自転車置き場で声をかけて。想いを口にした。ひとに、「好きです」なんて言うのは初めてで、自分でも顔が赤いのがわかった。
彼は申し訳なさそうに、ごめんね、と言った。悲しくて、ショックだったけれど、受け入れるしかなかった。
時は流れ、中学三年生になった。
ちょっとした機会で、私は女子の友人に、そのことを話した。こんなこともあったんだよ、と。
すると友人は目を丸め、私を見て言った。ああ、あれ、あんただったの。
友人は私に教えてくれた。
彼とはヨット教室が同じで、その合宿で、彼が自分は告白されたことがある、と友人に話したことを。
彼が言うには、私をフった理由は、時期にあるらしい。春休み前で時間があくし、つき合ってもウダウダになるんじゃないか、と。彼は考えたらしかった。つまり、私が告白したのが春休み前じゃなければ、私はフられずに済んだらしかった。
私はなんだかバカバカしくなり、自分のタイミングの悪さと、彼の真摯ではない態度に呆れた。
けれど不思議なことに、私は彼を嫌いになれなかった。
恋は盲目なんて言うけれど、人は恋していた相手にも盲目になるらしい。