sanuki story project

71男と、女と、どちらでもないもの 香川県  匿名希望さん
切ない話 青春モノ
「大好きー!」
高校の廊下で、私を抱きしめ、友人はそう言った。彼女は女の子で、バイだった。
人に好かれることに慣れていなかった私は、ただひたすらにときめいた。
彼女には男の子の恋人がいると知っていたけれど、不仲だという噂も聞いていたし、もしかしたら、と思った。
私は同性愛者ではなかったが、彼女を好きになりかけていた。
運動会の前日、テントをはっていたときだった。
彼女はふと、自分の恋人の話をしはじめた。自分の恋人はどれだけかっこよくて、どれだけ素敵か話してくれた。
私は、失恋に近いものをした。
気になっていた女の子が、恋人とラブラブな話をするなんて。少しだけ、つらくなった。
けれど、彼女とは、より仲のよい友人になれた。不思議なことだ。