sanuki story project

70「きらきら」 香川県  翠蓮さん
切ない話 友人ネタ・子ども時代・青春モノ
 中学2年になる春休み。家庭の事情で親戚の家に預けられることになった。親元を離れ、ひとり小豆島に渡った私は、学校の裏手にある海岸で、よく時間をつぶした。素足でひざまで海につかり、この海の先に続く、離れた家族をいつも想った。
 転校したばかりの頃は、辛いことも多かったが、担任のおかげで次第にクラスにもなじみ、仲の良い友達も出来た。勉強を教えてもらったり、家に遊びに行ってピアノを教えてもらったり。そうそう、好きな男の子もできて、交換日記もしたっけ。夏は、親戚の営む海の家を手伝い、空いた時間には、真っ黒に焼けるまで泳いだ。そして、1年半の時間はあっという間に過ぎ、小豆島で過ごす最後の夜、お泊り会をした。布団にもぐって、次から次へとあきもせずガールズトークは続く。でも、やっぱり最後はさみしくて、辛くて泣いてしまった。
 家族と離れて暮らした1年半。家族以外の愛を、友達がたくさん与えてくれたよ。今も想い出すと、ちょっと胸がキュンとなる、キラキラした想い出だ。