投稿作品sanuki story project
6赤信号の寸劇
大阪府 ヒロヤカズマさん
その他 その他
カメラマンの友人と運転手、そして私の3人で、名前は忘れましたがさぬき市の、どこにでもありそうな短い橋の上で、赤信号に捕まった時の出来事です。
進行方向左手の橋の上で、ボロをきた腰の曲がったおばあさんが、こんな浅瀬で何が釣れるんだろうという川に釣り糸をたれていました。
その何とも言えない光景に3人とも釘付けです。とその瞬間、その身体のどこにそんなエネルギーが潜んでいたんだという瞬発力でおばあさん、ひと目でベテランと認識できる無駄のない動きで、釣り竿をクッと引き上げたのです。
「釣った! 釣ったぞ!」と、これまで大した会話のなかった車内が一気にヒートアップします。と同時に後ろからクラクション。慌ててカメラマンがシャッターを切ったのと同時に、車は急発進しました。
赤から青へ、時間にして数秒だったと思いますが、車内3名、ドラマを一本見終わったくらいの満足度にしばし呆然。
そんな中カマラマンがボソッと一言。「あー、いつもこうなんだよなー」とカメラの液晶を見せてくれました。真っ黒です。写真なのか電源の入っていない液晶なのか分からないくらいの真っ黒です。
「撮りたいなーってシャッター切るといつも真っ黒なんだよなー。なんだかなー」と、レンズキャップがはまったままのカメラを、もじもじ弄ってました。
おばあさん何釣ったんでしょうか。ちゃんと撮れていたら何が写ったんでしょうか。おばあさん写ってなかったりして…。
進行方向左手の橋の上で、ボロをきた腰の曲がったおばあさんが、こんな浅瀬で何が釣れるんだろうという川に釣り糸をたれていました。
その何とも言えない光景に3人とも釘付けです。とその瞬間、その身体のどこにそんなエネルギーが潜んでいたんだという瞬発力でおばあさん、ひと目でベテランと認識できる無駄のない動きで、釣り竿をクッと引き上げたのです。
「釣った! 釣ったぞ!」と、これまで大した会話のなかった車内が一気にヒートアップします。と同時に後ろからクラクション。慌ててカメラマンがシャッターを切ったのと同時に、車は急発進しました。
赤から青へ、時間にして数秒だったと思いますが、車内3名、ドラマを一本見終わったくらいの満足度にしばし呆然。
そんな中カマラマンがボソッと一言。「あー、いつもこうなんだよなー」とカメラの液晶を見せてくれました。真っ黒です。写真なのか電源の入っていない液晶なのか分からないくらいの真っ黒です。
「撮りたいなーってシャッター切るといつも真っ黒なんだよなー。なんだかなー」と、レンズキャップがはまったままのカメラを、もじもじ弄ってました。
おばあさん何釣ったんでしょうか。ちゃんと撮れていたら何が写ったんでしょうか。おばあさん写ってなかったりして…。