sanuki story project

361「献上」桜の園 香川県  匿名希望さん
不思議な話 地域の話
 我、古里の東山には、小さな神社があります。五色台周辺には、神社がまつられており、雲居御殿が存在します。京の都から、流されて来た天皇様を秋の祭りで、なぐさめていた事でしょう。今では、たいこ台が主流で、おはやしを聞くと、心そわそわして来ます。
 まだ、私が30歳の頃、犬のハナと下の公園へ散歩をしていた頃のお話です。
 近くの病院勤務で、日々、つかれていたのか、夢を見たのか、今でもハッとさせられるでき事でした。
 三月の中旬、桜の歌が好きで、ハナと共に、公園へ出向いていました。穏やかな春の日の日曜日、人影もなく、私と犬だけの空間でした。
 桜の近くを通ると、水色の平安装束の男の子が、手紙と桜の枝を差し出して、スッと消えました。私は、手紙は受け取っては、いませんでした。桜は、満開で見事に咲ほころんでいました。ハッとした私は、誰に告げることもなく、家路へ向かっていました。30歳で、結婚が決まっていた頃のでき事でした。