sanuki story project

333西の嫁入り 香川県  匿名希望さん
笑える話
子供の頃、寿の印がついたタクシーに乗る白無垢の花嫁さんを見るとはしゃいだ。「お母さん見て!お嫁さん!きれいねえ!」まさか、讃岐(主に西)の結婚式がこんなにも大変だとは。
Mさんとご両親は山下おいり店で買い求めた結納品を自宅の座敷に並べて、明日の結納のリハーサル。「結納の日は相手の家の床の間に、黙って並べないといけない。並べている間、しゃべってはいけない」「並べ方、覚えられる?」「・・・頑張る」「座敷の床の間からはみ出てるんだけど」
我が家では。「仲人さんから、嫁入り道具で、夏用と冬用の座布団が20枚ずついるって!」「座布団?」「座布団タンスもいるらしいから、家具屋さんに聞いてみるわ」家具屋「座布団タンスですか?特注になります。いや~年に1、2回しか注文がありませんで、珍しいです。ご結婚おめでとうございます!」
母「昔からね~西の嫁入りは派手で有名だったのよ。娘が3人いたら、家がつぶれるって言われていたわ。嫁入りの着物タンスをご近所さんに披露してね、着物の下にタオルを詰めてかさ増ししたり、女兄弟が多い家は着物の使いまわししたりね。」「着物いらないから現金にして。」
仲人さん「ごめん!座布団で、仏さん参りに使う夫婦座布団がいるんやった!」
衣装屋さんにて衣装合わせ。「かわいい~!僕のお嫁さん、なに着ても似合う!」一眼レフカメラを片手に絶妙なカメラワークのMさん。「ご近所さんのお披露目はどこでするん?公民館?Mさんち?」「たぶん自宅。ホームにいる祖母も何とかして見せてあげたいな」「そやな~私、自宅で支度しておばあちゃんに花嫁衣裳見せる。Mさんのおばあちゃんにも見せたいわ」「そやな~」
招待客のリストアップ、職場の人に配る山下のおいりの数、栗林公園で前撮り。新居探し。猛威を振るうインフルエンザ。「引き出物にうどん入れる?」
結婚式1か月前、両家は疲弊しきっていた。「・・・もう結婚やめたい」ぽつりと漏らす両家の親。「嫌や。分が悪いわ。僕は、あの子と結婚するんや。頭下げてでも、あの子と結婚したいんや。破談なんかにせんわ」
結婚式前日。「ぎゃ~!?ドレスのサイズ変わってる!」「夫婦座布団は座るもんちゃうで。夫婦の代わりに置いておくもんやで」「そうなん!?」まさかの元カレからの連絡。「なんで結婚すると?」「あなたを選ばなくて、Mさんに決めた理由?それはね・・・」どうなる結婚式。