sanuki story project

332西のお見合い 香川県  匿名希望さん
笑える話
ことの発端は29歳の夏。ある日いつものように仕事から帰ってくると、母と祖母が台所のテーブルで何やら白い紙に書き物をしていました。「ただいまー。何しょん?」「おかえり~。あんたのお見合い決まったから、釣書につける写真持っといで」「へぁ!???」何も聞いてないがな!そう、テーブルの白い紙は、達筆な祖母が母と相談しながら私の釣書を執筆していたのだ。
「大体お見合いは釣書の段階で終わることが多いから、緊張せんでもええで」断られること前提ですかい。できるだけ、そこそこ変顔でブサイクな写真を提示。「ええやん、あんたらしさが出てるわ」そうですか、普段から変顔ですか。
数日後、仲人さん経由で相手方男性の釣書と写真を入手。うん、私と負けず劣らず変顔や。断ろう。「お見合いは9月〇日、丸亀のオークラホテルな」「はーーーー!???」
9月某日、丸亀のオークラホテル。母と私、仲人さん、相手のお父さん、お見合い相手のMさんで初顔合わせ。タイプ違う。全然タイプちゃう。断ろう。食事もそこそこ、仲人さんの決めセリフ「後は若い人同士で~」よっしゃ、帰ろう。帰って猫と遊ぼう。
親と仲人さんの手前、あまり無愛想では失礼になるので始終にこやかにしていたが、そろそろ化粧が雪崩起こして崩壊しそうだ。Mさんは理系の眼鏡男子、今までの学生生活も今の職場も男ばっかりでほとんど女友達もいないらしい。その割にソフトな人当たりでさりげなくエスコートできるのは、上のお姉さんのスパルタ教育の賜物のようだ。そのスキルを私以外に発揮してくれ。
家まで車で送ってくれた帰り際「よ、良かったらメルアド教えてください!」「へっ!?あ、はい・・・」次のデートが決定した。よし、反ロマンチックなデートコースを選ぼう。
宮脇書店総本店(ビジネス書を立ち読みしてたら引くやろ)「いい本ですね、買いましょう!」四国八十八か所札所の某お寺「せっかくだからお守り買いますか?御朱印帳は?」お客さんの99%が女子大生のワッフルが有名なカフェ「ここ来たかったんです!甘いもの大好きで!」山の中の某ねこ手芸店「か~わ~い~い~!」そしてとうとう、その日が来た。善通寺の王墓山古墳の前。「僕と、結婚してください!」90°にお辞儀して右手を差し出して。その後ろを自衛隊の緑色のトラックが通り過ぎて行く。「はい、いいですよ」そうして私とMさんの結婚が決まった。