投稿作品sanuki story project

私の友人は、マンノウ町というところに住んでいるらしい。
香川で一番大きな町だが、一番存在感が薄い町だと、皆口をそろえて言う。友人の語るマンノウは私達の知らないことであふれている。マンノウ町の中学生は入学して一番に、イノシシに出会った時の対処法を習うらしい。他の地域では、あまり考えられないことだが、マンノウ町では、不審者よりイノシシが出る方が圧倒的に多いそうだ。友人曰く、「一不審者、千イノシシ」だそうだ。私は友人の語るマンノウ町が気になり、行ってみることにした。私が住んでいるタドツ町から行くにはJRから琴電への乗り換えが必要だった。少し不便だが、マンノウ町のことが気になりそんなことはどうでも良かった。実は心のどこかで友人の話を疑っていた。同じ香川県に住んでいる身として、そんな所があるなんて信じられなかったのだ。しかし、実際に行ってみると、イノシシの防護柵があり驚いた。ド素人の私は気付かなかった。私の背後にせまるこの世で最も恐ろしい子連れイノシシに。