sanuki story project

112我が青春のイボコロリ 香川県  たそがれ初老紳士さん
その他 子ども時代
まだ僕が小学生だった頃、なぜか僕の妹は膝にイボができやすく、よくイボコロリという薬を塗っていた。
 さて、ここからが本題であるが、僕が小学校に入学した頃、鼻の横に小さなホクロができて、僕が年々成長すると共にホクロも大きく成長し、中学生になる頃には鏡を見てもよく目立つほどの大きさになり、男子とはいえ、そこは思春期のお年頃とあって、このホクロなんとかならないかなぁ?と思い、ここで例のイボコロリの登場となるのである。イボコロリは効能の中に「ウオの目、タコ、イボ、ホクロの除去に効き目あり。」と書いてあり、ひょっとして僕のホクロも取れるかも…と思い、多少の不安はあったものの効能の中に書いてある事を信じて、直径5mm程のホクロの中心部へまず一滴…特に変化なし。という事で鏡を見ながら慎重にホクロ全体に広げて塗ってみた。ようし、これできれいに取れるはずと思うと同時に襲ってきた激痛。「ウギャ!!」焼ける様な痛みは予想以上で、表面が白く乾くまで約数分間、耐え、やっと痛みがおさまったところで、これですっかりきれいにホクロは取れるはず。と白く乾いた皮をみくって見ると、取れたのは表面の皮だけで奥には黒々とした本体が僕の試みをあざ笑うかの様に鎮座しているではないか。しかし、ここで諦める訳にはいかない、と薄く皮をはいだ部分にさらにイボコロリを塗りつけた。「ヒィ~~!!」前にも増して刺す様な痛みが僕を襲った。これはやばいかも…と思いながらも「がんばれ自分!負けるな自分!」と心で念じながらホクロが取れてスッキリした顔になった自分を想像し、痛みに耐えぬいたのだった。そして鏡を見ながら白く乾いたホクロの表面をはがしてみると、ポッコリとその部分だけが月のクレーターの様にへこんで、しかもクレーターの底にはまだ黒いホクロの残骸が…。
 そんなところを仕事から帰って来た母親に見られ、「何、アホな事しよん?」「そんなん皮膚科に行ったらすぐ取ってくれるのに。」と言われ、僕はあ然とした。
 かくして翌日、保健所王片手に近所の皮膚科の門をくぐったが、先生に診てもらうと「どしたん?これ。普通なら一回で取れるのに、余計な事するけん深くまでいっとるなぁ。2、3回は来てもらわないかんなぁ。」と言われてしまった。
 これからは何事も実行に移す前に色々と相談する事も考えてみようと思う出来事であった。