sanuki story project

79彼女の半分 香川県  匿名希望さん
怖い話 その他
もう10年ほど前、主婦仲間で、近くの手芸店の教室へ通っていました。ある日、いつも明るいKさんが、浮かぬ顔をしています。訳をたずねると、沈んだ声で話し始めました。

「昨日の夜ね、入院中のおじさんの具合が悪くなって、病院へ駆けつけたのよ。その時、急いでいたから、いつもは通らない旧道を通ったの。ほら、立石トンネルのある旧の山道よ」
「ああ、あのなんとなく怖~い雰囲気の道よね」
「うんうん・・・トンネルを抜けてね、なんとなく窓の外を見ると、人影が見えたのよ。こんな寂しいところで、何してるんだろう?と、じっと目をこらして見たの。すると、ないの・・・その人」
「ないって?」
「体が半分しかないの」
「えええ~~~!でも、暗かったから、見間違えたのかもよ」

私はそう言って、笑って済まそうとしたのでした。しかし、Kさんはまだ浮かぬ顔をしたまま、というか、さっきより青ざめた顔をしています。

ここまでなら、よくある「ユウレイ話」なのですが、この話には、つづきがあるのです。
Kさんは声を震わせながら、こう言ったのでした。

「来たみたい・・・

さっきね、お客さんが入ってきたような気がして・・・
高いヒールの靴が見えたから、顔を上げてみたの。

すると、その人ね・・・脚だけしか見えないんだもの・・・」


あれから彼女は、無くした体の半分を、まだ探し続けているのでしょうか?