sanuki story project

78友だちの友だち 香川県  匿名希望さん
切ない話 青春モノ
 高校時代、わたしは演劇部だった。当時今のように高文祭などはなく、みんなに見てもらうのは年に二回。新勧の時と文化祭の時だった。
 ある年の文化祭。題材は広島の原爆。被ばくしてないわたしたちに原爆が描けるか?と思いつつ、当時高校にいた被爆した先生に話を聞き、当日。昔の音響はテープリール!で、OHPで原爆ドーム、たくさんのフラッシュで閃光、そしてそのあとどーんという爆音が流れる…はずだった。しかし、少ない予算のため、本番まではフラッシュをたかずにいたため、当日は光らず。音響もテープが絡まって、舞台袖から「ああ、どうしよう。」と焦る裏方さんの声を聞きながら、赤い光の中で全く音もなく立ち尽くす羽目となった。どうしようもないまま、早く緞帳を下げてくれーと思いつつ、終わった後にはその場にうずくまりみなも涙した。
 しかし、そのあと見てくれた後輩の塾の先生~のちに一回り年上のともだちとなるのだが~が、「いまどきよくこんな劇に挑戦したな。本当によかった!」と言ってくれたのを聞いて、救われた気がしたのだった。
 3年間の演劇部。後輩が事故で亡くなったり、学校をドロップアウトしたり、川のこちら側とあちら側から発声練習をしたりといろいろあったが、本当に自分の中で大切にしたい3年間だった。