sanuki story project

356初夢 愛知県  匿名希望さん
笑える話 うどんネタ・地域の話
昔おばあちゃんがこんなことを言っていた。
縁起のいい初夢は、一富士、二鷹、三なすびだが、
香川では、一城、二うどん、三天狗、だと。

「うどんは讃岐うどん、城は丸亀城、天狗は?」
「『大きな運と小さな運』という香川の昔話があってな、不運な男が努力次第で運は変わると天狗に教えられるお話やきんよ」

今の自分こそ不運な男のように思えた。
僕の唯一の幸運は可愛い彼女に出会えたことなのに、その彼女とも大喧嘩をしてしまった。
来年こそいい一年になるよう、新年を迎えるにあたり、丸亀城のお守りと天狗の置物と即席うどんを枕元に置き目を瞑った。

縁起をかついだその夜、僕はこんな夢を見た。

丸亀城に開店したうどん屋で、僕はうどんの早食い競争をしていた。熱くて食べられないうどんに四苦八苦していると、客席の天狗が大きな団扇で僕だけを仰いでくれた。よく見ると天狗はお面をつけた女性で、惜しくも優賞を逃してしまったものの、僕は新しい出会いに期待を寄せた。ドキドキしながら接近し、お礼を言おうとしたその瞬間、天狗のお面がはがれた。
「がっかりしたん?」
 見慣れた彼女の脹れっ面に、僕は冷や汗をかいた。