sanuki story project

343放哉さんの足の裏 香川県  きょんさん
切ない話
小豆島に旅行に行った。「エンジェルロード」が見えるホテルに泊まって、翌日、近場でどこか観光に行こうと思った。

すると近くに尾崎放哉記念館やお墓、寺男として働いたお寺があることがわかった。

放哉についてはよく知らないけど、行ってみよう。
東大を出て、放浪して、自由律の俳句を作った人。そして最後小豆島で暮らし亡くなった。

放哉が人生の最後に住んでいた庵は小さくてこぎれいで住みよさそうだった。(建て替えているからかも)

咳をしても一人
墓のうらに廻る
いれものがない両手でうける

これなら聞いたことがある。
一応、句の通りにやってみる。

中で気に入ったものがあった。

足のうら洗えば白くなる

父の黒い足のうらを思い出した。
靴をはいていたらそんなに黒くはならない。
つっかけかスリッパのようなもので、朝、働いていたのだろう。
小さいころ見た昼寝をする父の足の裏は真っ黒だった。

でも、洗えば今度はびっくりするほど白くなる。
そのころ父もまだ40歳くらいだったはずだ。
放哉が死んだのも40歳くらい。

放哉のお墓には大好きなお酒が供えられていた。