sanuki story project

287声の友達 香川県  和泉敏之さん
不思議な話
香川県に住む女子高生がある日、精神的な病にかかってしまった。

しばらく学校へは行けなくなり、悲壮感に包まれる毎日である。

そんなある日、彼女に「声」が聴こえるようになった。
そう、幻聴だ。

恐怖心に怯える彼女。もう病気は戻らないのではないかとますます悲観に暮れる。

しかし、その「声」は非常に優しかった。同い年くらいの女の子の声でこう語りかけてきた。

「一緒に病気を治そう? 私がついてるよ!」

学校に行けない彼女にとって、その「声」は唯一の友達になった。

毎日、色んな話をしてくる。段々と彼女は体調が回復していった。

だが突然、次のことばを語ってきた。
「もうすぐお別れだよ」

彼女はその「声」を聞いて涙を流した。もっと一緒にいたい。もっと色んなことを聞きたい。だが、「声」は優しく寄り添いながらこう語った。

「あなたの友達は学校にいる。まずは保健室登校から始めて。じゃあね」

「声」は聞こえなくなった。寂しさで心はいっぱいになったが、彼女は学校の保健室へ出かけた。

そこでは別の女子生徒が保健室登校をしていた。
その生徒が養護教諭と話していのを聞いてびっくりした。

あの「声」と同じ声をしていたのだ。

勇気を出して、声をかけた。
「友達になってくれませんか?」

保健室の生徒は微笑んで頷いた。