sanuki story project

27421時 東京都  折舘早紀さん
切ない話
2年前、さぬき映画祭のさぬきストーリー・プロジェクトに応募した。

私は東京で女優として活動しており、映画の作り手としては素人だったが、
今の自分を変えたかったのと、夜に行われていた交流会に参加してみたかったからだ。

しかし交流会の席についても知り合いはほぼおらず、なにもできない自分がいた。
同世代の女優さんはとても上手にアピールしているように見え、
自分の無力さに気づき、ものすごく虚しくなってしまった。

21時になって、交流会をあとにした。
ホテルまでの道のり、高松の夜の街はとても静かでひんやりとしていた。
その静けさは、ふと地元・青森のことを思い出させた。

私は小さい頃からお芝居が大好きで女優になるのが夢だった。
青森から上京する際、そんな私の背中を押してくれたたくさんの人に、
まだまだこれから自分の芝居で恩返しをしたい、
こんなことで自信をなくしちゃいけないと思った。

めそめそしながらも、少し強くなれたような気がした一夜だった。