sanuki story project

255占い 神奈川県  M.I.Tさん
不思議な話
結婚に興味はなかった。ただ、自分の人生を、思うままに生きられたら。ただ、それだけだった。

ある日、職場の同僚に声をかけられた。一緒に神社に行ってほしいという。興味は無かったが、なぜか気になった。一緒だから神社でお参りをした。それから、我々は付き合った。付き合うまでは、いろいろあった。彼女はすべての決断を、占いで決めるからだ。
占いによると、我々は結婚の相性は悪いらしい。二人は真逆、相性は最悪。しかし、我々は結婚を決めた。占いの結果に従わなかったのだ。それから、矢継ぎ早に結婚へと進んでいった。それはまさに、運命としか言いようがなかった。

我々は結局、結婚しなかった。理由は、占い。結婚前直に、我々の未来に不幸せを示す占いの結果が出たらしい。占いによって、我々は結婚を取りやめ、別々の道を歩むことになった。
占いには、どうやら人生を決める力があるらしい。彼女が信じたのは、私ではなく、占いだった。
それから彼女は、別の人と結婚をした。私は、彼女を忘れられなかった。彼女と過ごした日々、そして占い。私は占いを憎んだ。憎んでも憎んでも、どうしようも無かった。

それから数年が経ったある日、私はスナックを訪れた。スナックのマスターは、占いに縁のある人だった。マスターは言った。「南に行きなさい」と。
私は、あんなに憎んだ占いだったのに、なぜかマスターの一言
は、すんなりと受け入れることができた。そして私は南に行った。
南には、何があったのか。何も無かった。ただ、きれいな海が広がっていた。初めてなのに、初めてではない、何だか懐かしい海だった。彼女の好きな色は、青だった。長い長い遠回りだったけれど、占いは、最初から私をこの海に導いていたのかもしれない。ここまで私を導いてくれた占いに、ありがとう。私はここから、この場所から、ようやくやっと歩き出せそうだ。