sanuki story project

207盗塁死 香川県  匿名希望さん
笑える話
私が中学2年生の夏の話だ。昼休みに友達と職員室に課題を提出しに行った帰り、職員室を出てすぐの廊下で野球部の先輩と遭遇した。挨拶をして通り過ぎようとしたら、先輩に声を掛けられた。「盗塁の練習したいから、かけ声頼むわ」 最初は意味が分からなかったが、よくよく話を聞いてみると、総体が近かったので少しの時間でも練習をしたかったらしい。すぐさま廊下で先輩がリードをとり始めた。私はなにもこんなところでしなくてもと思いながら、先輩には逆らえず、「リード、リード、リーリーリー・・・・・」と声を出し始めた。「ゴー」といえば先輩はスタートをきり、「バック」といえば戻るそれが何回も繰り返された。気がつくと他の生徒が集まってニヤニヤしながらこちらを見ている。恥ずかしすぎる。私は先輩にラストにしましょうと言い、かけ声を始めた。「リード、リード、リーリーリーリー・・・ゴー!!」先輩はラストだったからか、本気で廊下を走り出した。そしてちょうど塁間くらいの距離に差し掛かったときなんとスライディングをし始めたのだ。「うわぁ、やばいわあの人」と私が思っていると、保健室から女子生徒がタイミングよく出てきてしまった。「危ない!!」私はとっさに叫んだ。幸いにもぶつかりはしなかったのだが、幸か不幸かスカートの真下を潜り抜けてしまった。女子生徒はキャーと悲鳴をあげ、その先輩を思いっきり踏みつけた。先輩はしばらく動かなかった。
大会本番を迎えた。その先輩は一度も盗塁する事無く引退していった。