sanuki story project

119空白 東京都  井面和希さん
感動した話 その他
今年の1月10日に成人式が行われ、そこに自分は参加した。
自分は現在東京に来ている。今まで故郷に対して深い愛情などはなく、アイデンティティを持てず、高校卒業後就職。最初のうちは、東京という街の刺激を感じていたが、そんな日々も長くは続かず。日に日に荒んでいく人生、摩耗していく日常と精神。そんなある日、親からの一本の留守電。直接では無いが成人式に来れるかの、参加の有無の確認。その連絡も日々の日常の中では、すぐに忘れてしまう。
返事を返せないまま成人式まで、あと一週間の所まで差し掛かっていた。
仕事の休憩時間、上司から「成人式は、地元には帰らないのか?」

「お父さん、お母さんに二十歳になった姿見せたら喜ぶぞ。」

「ハメ外して来い。人生で一度だ、大切にしろ。」

あまり気乗りはしないが、気分転換には丁度いい。そんな事を考え、荷物をまとめ、深夜バスに乗った。実際は地元に帰ってみても、そこまでの心境の変化もなく、変わらぬ友人との時間を過ごして1日目が終わった。

次の日、いよいよ「成人式」そこには変わらず迎えてくれる親友、クラスメイト、地域の恩人たちがいた。2次会で他のクラスメイトたちがどんなことをしているか近況報告。恩人にお酒を注いでもらい、元カノとも昔話に浸った。そして、初恋の人が今住んでいる人が同じく東京に住んでいるということを聞いた。

 いろいろな「モノ」を感じた。思い出した。知った。

最後の日実家に帰った。
 向かっているなか、風景が変わっているのに気づいた。

「自転車で毎日通った道」
「 友人たちと子供の頃毎日遊んだ公民館」
「 帰り道 」
「 買い食いしていたお店 」

2年でこんなにも変化していた
実家に帰って母親と顔を合わせた。
母親は「元気そうで良かった」
ただその1言だけだった。