sanuki story project

92つながらないじゃん 島根県  田中晋さん
その他
 夏の猛暑の中、我々は自主制作ロードムービーを撮影しながら高松入り。鳥取県香取村の中学生たちがヒッチハイクしながらお爺ちゃんの遺骨を故郷の栗熊に届けるって話を撮っていました。
 高松市での撮影初日を終え、我々は銭湯で汗を流すことに。ついでに、併設されたコインランドリーで、溜まっていた洗濯物を洗いました。昔ながらの風情のあるお風呂場を満喫した後、洗濯物を回収しようとすると、助監督が乾燥機に投入したはずの衣類がそっくりそのまま無い!誰かが間違えて持って帰ったのかと思いきや、隣の乾燥機にあったはずの他のメンバーの洗濯物も全部無い!その隣も無い!盗まれたのです!そして、盗まれた衣類の中には役者の衣装も!と言うことは、今日と明日の撮影で衣服が変わってしまう!シーンがつながらない!大ピンチです!
 警察の方に来ていただき、深夜まで聞き取り調査。撮影でくたくたのメンバーにさらに疲労が募る。監督も苦悩を隠せない。なんで大事な衣装があったのに誰も見張っていなかったのかと不満も爆発。メンバー間に漂う不穏な空気。
 しかし、文句ばかり言っても始まらない、宿に帰って対策会議。明日の午前中は撮影をすべてキャンセルして、高松市内で似た衣装を探すことに。高松の知人に古着屋などを教えてもらい、メンバーで手分けしてお店を廻りました。が、都合良くそっくりな衣装は見つからず、色合いの似ているものしか入手できません。これでは、衣装が急に変わったのがバレバレです。さぁ困った。
 ここで、監督が英断。それまで撮ってあるシーンの直後に、役者の中学生たちが銭湯の湯舟に入っているシーンを追加し、銭湯から出てくる時には新しい衣装に着替えて出てくるというプランに切り替えました。衣装を盗まれた現場である銭湯を撮影現場にしてしまおうというわけです。急遽、銭湯のご主人に撮影許可をいただき、撮影再開。幸い、順撮り(映画のストーリー順に撮影)していたので、いくつかのシーンを撮り直すだけで、無事映画を完成させることができました。思わぬアクシデントでしたが、メンバーの結束を固めてくれる出来事でした。