sanuki story project

229崖っぷちだよ、金毘羅さん 大阪府  アイコンさん
笑える話
アラフォー独女二人で金毘羅さんにのぼっていた。お昼に食べ過ぎたうどん分のカロリーを少しでも消費するために、奥社まで行くことにする。
日頃の運動不足と小麦粉が詰まったお腹の重さで歩みは遅い。健脚のお年寄り軍団に道を譲りながら、のんびりと進む。
道幅が広いところで立ち止まったとき、二十代後半の父親と小学生の姉妹がするすると横をすり抜けた。三人を横目で追いながら、友人が一言。
「いいよな、若いお父さんと可愛い姉妹。憧れるわ」
ため息まじりのその声に私は同調する。
「そうやなあ。まあ、私らにはもう手遅れやけどな」
自嘲気味に笑う私に友も続く。
「相当年下捕まえても、今から二人は産まれへんしな」
二人揃って急に足取りが重くなる。暗い気持ちを振り払うように、伸びをしてスピードを上げた。
しばらくのぼると、先ほどの小学生・姉が駆け下りてきた。必死の形相の彼女を若い父親が追う。途中まで付いてきていた妹が、私たちの横で立ち止まった。
「あきらめないで」
妹が姉に放った一言で事態を把握した。トイレを我慢しているのだろう。
姉の見せたギリギリの必死さは、結婚を焦る自分たちと重なり、妹の声援は私たちに向けられたように思えた。
同じことを感じたのか、友人が微笑みながら言った。
「間に合うと良いなあ」