投稿作品sanuki story project

　今からする話は息子がまだ幼稚園の頃の話です。その頃、我が家では、ペロという犬を飼っていました。ペロは、雨の中、段ボール箱に入れて捨てられていたのを主人が拾ってきた犬でした。ペロの散歩は、祖母の役目で、息子もいつもついていっていました。
　ある日、「今日は、ぼくが散歩に連れていってくる。」
息子はそう言うと、リードを持ち、ペロを引っ張るようにして出かけていきました。一人で大丈夫かなと思いましたが、
「気を付けてね。」
と送り出しました。
　しばらくすると、ドンドンという足音を立てて息子が帰ってきました。見ると、服が泥だらけです。
「もう、ペロや全然言うこときかん。」
　半べそをかきながら話す息子の話によると、家を出たとたん、ペロが走り出し、どんなにダメと言っても勝手に田んぼの中に入ってしまったそうです。結局、息子はペロに振り回され、転んだままズルズルと引きずられていったそうです。ですがリードは絶対放すまいとがんばったようでした。
　話を聞いていた姉が、笑いながら
「どっちが散歩をさせたん？たかしがペロに散歩させてもろたみたい。」
とそっと私に耳打ちしました。
　息子の姿がおかしいやら、いじらしいやら・・・
　そんな息子ももうすっかり大人になりました。我が家のなつかしい面白エピソードです。