sanuki story project

117夕映えの海と空 香川県  狂い咲き仮面さん
切ない話 地域の話
さぬき映画祭が出来てから、「休日は映画監督」とばかり、映像塾という映画制作実践講座の仲間達で、自主映画を製作するようになりました。
シナリオ講座の仲間の企画が通り、さぬき映画祭の上映に合わせ、本格的な長編映画もいくつか撮りました。
小さな香川県ですが、素敵な場所がたくさんあり、西へ東へ島へとロケハンし、その場所の魅力をスクリーンに映しました。
映画のロケで初めて知った場所もいくつもありました。

中でも印象的だったのは、香川県の詫間に特攻隊の基地があった史実を元にした「ジュリーの海&空」という映画です。
ゼロ戦のレプリカにも乗り、戦時中のセットも組みました。高松市文化センター内にあった「平和記念館」で、当時の衣装や小道具もお借りし、戦時中を再現して、撮影しました。

「日本の夕陽百選」にも選ばれた夕陽の美しい父母が浜が見下ろせる場所に海軍航空隊の記念碑が建っています。
香川にも特攻隊の基地があったことにも驚きましたが、そこから50数名の若い命が空に飛び立ち、海へと消えたことに胸が痛くなりました。
今はこんなに穏やかな風景が広がる詫間にも、いくつもの悲しいドラマがあったのです。

戦争を扱った映画だったからか、ロケ中に少し不思議なことがいくつかありました。
例えば、日米親善大使として贈られた青い目の人形を隠すシーンでは、ロケ地の吉祥院で、灯したろうそくが風もないのに消えたり、誰もいないはずの風穴で、誰かの気配を感じたりもしました。

そんなこともありましたが、美しい風景を撮りながら、その時代の狂気を疑似体験し、私達は戦争の愚かさを強く感じ、この穏やかな瀬戸内海を二度と戦争で血に染めてはならないと思いました。
そして、これからも私達はこの香川の美しい風景が変わらないことを願い、映画を通して香川を伝えていきたいと思っています。