sanuki story project

172さすらいのサラリーマン 香川県  匿名希望さん
驚いた話
10年以上前のこと。
どこでも、どこまでも、移動手段は基本自転車の私。その日も会社が終わって、待ち合わせの時間ギリギリで飛び出し、自転車をコギコギ。

細い路地から、ちょっと大通りにでる角を曲がった瞬間、後ろから来たタクシーがキキッーと停車し、物凄い形相で運転手が降りて来て、「なんしょんじゃ〜、こらー!」と私に向かってやってきた。

私としては、普通に角を曲がったつもりが、飛び出したように思われたんだと、「すっ、すいませ〜ん」と謝ろうと思った瞬間、反対側から歩いてたまたま通りがかったサラリーマンの男性が、「何いよんじゃ〜」と、タクシーの運転手に向かって駆け寄って、いきなり取っ組み合いになり、もみ合いのケンカに発展。私としては何が起こったのか???って感じでしたが、とにかく止めなきゃ…と思い、「やめてください」って叫びながら何とか仲裁に入ろうとしましたが、まったく無理。
近所の酒屋のおじさんが「ど〜したんなぁ」と寄ってきたので、ひとしきり説明しましたが「ふ〜ん」と言っただけて知らんぷりで戻っていきました。
どうしたものか…と思った時に、サラリーマンのメガネがもみ合って飛ばされ、ガチャ〜ンと地面に落下。その瞬間、タクシーの運転手が、「アホか!」っと叫んで立ち去りました。
スーツがヨレヨレで埃まみれになってたサラリーマン。とにかくお礼を言わなきゃと思い、近寄った私に、くるっと背を向けてスタスタ立ち去るサラリーマン。
気分的には「せめてお名前だけでも…」と言いたかったのですが、突然の出来事に「ありがとうごさいました」と言うのがやっとでした。

今、考えても、不思議な体験です。