さぬきストーリー・プロジェクト

新企画 さぬきストーリー・プロジェクト

神奈川県  吉見秀雄さん

投稿作品

No.136【7月3日に生まれて】

切ない話

私は今、神奈川県に住む、定年をとうに過ぎた男です。
毎年の事ながら人間ドックを受診する際、生年月日を記載するが、ふと生誕の地が気になった。
戸籍には「香川県木田郡林村」とある。
私は小さい頃ずっと徳島生まれで徳島育ちと思っていたが、小学生の頃、親父やおふくろに言われていたことが気になっていた。
「お前はさぬきで生まれ・・・」や「生まれた日に空襲があって・・・」など。
一度は生まれた地がどんな所か見てみたい。
そんな訳で両親への感謝も含めて、四国巡礼を計画した。
徳島から出発し最後の結願の寺、大窪寺参拝の後「林村」へ行くのだが、場所がわからない。
ネットで調べても。
ただ、高松市のホームページに「平和記念室」があり、7月4日の記事を見て、そこに行けば手がかりがあるかも知れないとの思いで訪ねた。
そこで聞いた話は「林村」は高松市に合併され、高速インターの近くで昔の高松空港の場所であることがわかった。
また館内の映像にはなんと7月3日から4日の空襲の映像がリアルに映し出され、両親もきっとこのように必死に生きて、そして私をこの年まで育ててくれたことを改めて知らされた。
旧林村を訪ねるとそこは広大な駐車場そして香川大学。
その前にはうどんの原料である麦畑が広がっていた。
ここで両親は必死で私を守ってくれたんだ。
あの映像がオーバーラップされ、しばらくは立ち尽くし両親に感謝した。

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